「オブセッションって、どういう意味?」
新聞を読んでいて、ふとこの言葉が気になりました。
なんとなく、
「執着すること?」
「何かに夢中になること?」
「強迫観念みたいなもの?」
というイメージはあります。
でも、いざ誰かに、
「オブセッションとは何ですか?」
と聞かれると、意外とうまく説明できません。
先に結論から言うと、
オブセッション(obsession)とは、特定の人・物・考えなどが頭から離れず、強くとらわれている状態を表す言葉です。
日本語では文脈によって、
- 執着
- 固執
- 妄執
- 強迫観念
- とらわれ
などと訳されます。
ただし、単純な「好き」とは少し違います。
考えないようにしても、またそこへ意識が戻ってしまう。
ここに「オブセッション」という言葉の特徴があります。
今回、私がこの言葉について改めて考えるきっかけになったのが、作家・川上未映子さんについて書かれた新聞記事でした。
川上未映子さんの作品。
「声で聞く小説」という新しい読書体験。
そして、人間が何かに強くとらわれる心。
一つの言葉から考えていくと、
恋愛、仕事、お金、投資、SNS、成功、若さ、過去、創作――。
私たちの日常にも、たくさんの「オブセッション」があることに気づきます。
この記事では、
「オブセッションとは何なのか?」
という意味の解説から始めて、「好き」「執着」との違い、恋愛やSNS、お金、仕事、人生との関係まで掘り下げてみます。
そして後半では、この記事を書くきっかけになった川上未映子さんの『春のこわいもの』と、「読む小説」「声で聴く小説」の違いについても紹介します。
オブセッション(obsession)とは?
オブセッションは英語で、
obsession
と書きます。
簡単に表現するなら、
ある人・物・考えなどが頭から離れず、自分の意識を強く占領している状態
と考えると分かりやすいでしょう。
例えば、
「あの人のことが頭から離れない」
「あのときの失敗を何年たっても思い出す」
「あの株を売らなければよかったと何度も考える」
「もっと成功しなければと思い続ける」
「老後のお金が心配で仕方ない」
「SNSの再生回数を何度も確認してしまう」
こうした状態には、程度の差こそあれ「とらわれ」があります。
大切なのは、
ただ好きなのではなく、「離れようと思っても意識がそこへ戻ってしまう」
というところです。
「好き」と「オブセッション」は何が違う?
例えば、
「コーヒーが好き」
という人がいたとします。
毎朝コーヒーを飲む。
好きな豆を買う。
新しい店があれば行ってみる。
これは普通の「好き」です。
ところが、
起きた瞬間からコーヒー。
通勤中もコーヒー器具を検索。
仕事中も焙煎について考える。
休日は専門店巡り。
豆を何十種類も集める。
寝る前にもコーヒー動画を見る。
夢にまでコーヒーが出てくる。
ここまで来ると、
「かなりのオブセッションだね」
という表現が似合ってきます。
非常に単純化すると、
好き=自分から対象へ向かう
のに対して、
オブセッション=対象が自分の意識をつかんで離さない
という違いがあります。
「考えたいから考える」
から、
「考えないようにしても考えてしまう」
へ。
この違いを押さえておくと、オブセッションという言葉がかなり理解しやすくなります。
オブセッションと「執着」は同じ?
日本語で最も近い言葉の一つは、
「執着」
でしょう。
執着とは、一つの物事に心をとらわれ、そこから離れにくくなること。
この点ではオブセッションと非常によく似ています。
例えば、
「昔の恋人に執着している」
という状態を想像してみてください。
朝起きると、その人のことを思い出す。
昔のメッセージを読み返す。
写真を見る。
SNSを確認する。
「あのとき別の言葉を言っていたら」
と想像する。
夜、寝る前にも考える。
相手は目の前にいなくても、
頭の中では非常に大きな存在
になっています。
これがオブセッションの特徴の一つです。
対象が現実にどれだけ近くにいるかではなく、
自分の内面をどれだけ占領しているか。
そこがポイントです。
オブセッション=病気ではない
ここは誤解しやすいので、区別しておきます。
obsessionは心理学・精神医学の文脈では、「強迫観念」などの専門的な意味で使われることがあります。
しかし、日常会話や文学では、
「強いこだわり」
「取り憑かれたように夢中になる」
といった意味で使われる場合もあります。
したがって、
「オブセッションがある=病気」
という意味ではありません。
日常語として使われる「オブセッション」と、医学的な概念は分けて考える必要があります。
川上未映子さんの記事から「オブセッション」を考えた
今回、この言葉について記事を書いてみようと思ったきっかけが、
川上未映子さんについて書かれた新聞記事
でした。
川上未映子さんは、『乳と卵』『ヘヴン』『夏物語』などで知られる作家です。
そして今回、特に気になった作品が、
『春のこわいもの』
でした。
『春のこわいもの』は6編からなる短編集です。
世界が大きく変化していく直前の東京を背景に、人間の欲望や秘密、記憶、悪意など、簡単には割り切れない感情が描かれています。
そして、この作品にはもう一つ興味深いところがあります。
それが、
「声で聴く小説」
という楽しみ方です。
『春のこわいもの』にはAudible版があり、俳優の岸井ゆきのさんが朗読しています。
つまり、
目で文章を読む。
だけではなく、
耳から文章を受け取る。
という体験ができます。
川上未映子『春のこわいもの』を読んでみる
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「読む小説」と「聴く小説」は何が違う?
本を読むとき、私たちは自分の速度で文章を進めます。
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戻って読み直す。
想像する。
しばらく考える。
そして、また読み始める。
一方、朗読では、
声の高さ。
間。
息。
速さ。
イントネーション。
言葉の強弱。
といった要素が加わります。
同じ文章でも、
自分で黙読したときと、
誰かの声で聴いたときでは、
受け取る印象が変わることがあります。
小説を「文字情報」だけではなく、
音として存在する日本語
として体験できる。
これは面白い読書方法だと思います。
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今回の記事と特に相性がいいのが、Audibleです。
『春のこわいもの』のAudible版では、
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散歩中。
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本を開く時間が取れないときでも、耳から小説を楽しむことができます。
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今回の記事を読んで、
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小説とオブセッションは相性がいい
ここで再び、
「オブセッション」
へ戻ります。
小説の登場人物を思い浮かべてみると、多くの人物は何かにとらわれています。
恋愛。
嫉妬。
家族。
復讐。
お金。
地位。
身体。
過去。
秘密。
罪。
死。
もし登場人物が、
「まあ、どちらでもいいや」
と何でもすぐに諦めてしまったら、物語はなかなか進みません。
「どうしても知りたい」
「どうしても忘れられない」
「どうしても許せない」
「どうしても欲しい」
「どうしても会いたい」
という感情が、人を行動させます。
つまり、
オブセッションは物語を動かすエンジン
にもなるわけです。
新聞を読んでいて、ふと一つの言葉に目が止まりました。
「オブセッション」
なんとなく意味は分かるような気がします。
「執着?」
「何かに夢中になること?」
「強迫観念みたいなもの?」
しかし、
「オブセッションとは何ですか?」
と聞かれると、意外とうまく説明できません。
私がこの言葉について改めて考えるきっかけになったのは、作家・川上未映子さんについて書かれた新聞記事でした。
川上未映子さんの小説と、「声で聞く」という読書体験。
そこから気になって「オブセッション」という言葉を調べ始めたのですが、掘り下げてみると、これは単なる英単語の意味だけで終わる話ではありませんでした。
恋愛。
仕事。
お金。
成功。
過去。
若さ。
SNS。
承認欲求。
創作。
家族。
そして、死。
考えてみれば、人間はさまざまなものに「とらわれながら」生きています。
この記事では、
オブセッションとは何なのか。
「好き」や「執着」と何が違うのか。
なぜ人は、終わったことを何度も考えてしまうのか。
そして、その強い「とらわれ」は悪いものなのか。
川上未映子さんの『春のこわいもの』を入口に、文学、恋愛、SNS、お金、仕事、AI、人生まで広げながら考えてみます。
オブセッション(obsession)とは?
オブセッションは英語で、
obsession
と書きます。
日本語では文脈によって、
- 執着
- 固執
- 妄執
- 強迫観念
- とらわれ
などと訳されます。
しかし、「執着」という日本語一語だけでは、obsession が持つ感覚を完全には表せません。
もう少し分かりやすく表現するなら、
「ある人・物・考えなどが頭から離れず、自分の意識を強く占領している状態」
と考えると理解しやすくなります。
例えば、
「あの人のことが頭から離れない」
「あのときの失敗を何年たっても思い出す」
「あの株を売らなければよかったと何度も考える」
「もっと評価されたい」
「老後のお金が心配で仕方ない」
「SNSの再生数を何度も確認してしまう」
「なぜ、あのときあんなことを言ったのだろう」
こうした状態には、程度の差こそあれ、「オブセッション的なとらわれ」があります。
大切なのは、
ただ好きなのではなく、「離れようと思っても意識がそこへ戻ってしまう」
というところです。
「好き」と「オブセッション」は何が違う?
例えば、
「コーヒーが好き」
という人がいたとします。
毎朝コーヒーを飲む。
好きな豆を買う。
新しい店があれば行ってみる。
これは普通の「好き」です。
ところが、
起きた瞬間からコーヒー。
通勤中もコーヒー器具を検索。
仕事中も焙煎について考える。
休日は専門店巡り。
豆を何十種類も集める。
寝る前にもコーヒー動画を見る。
夢にまでコーヒーが出てくる。
ここまで来ると、
「かなりのオブセッションだね」
という表現が似合ってきます。
非常に単純化すると、
好き=自分から対象へ向かう
のに対して、
オブセッション=対象が自分の意識をつかんで離さない
という違いがあります。
「考えたいから考える」
から、
「考えないようにしても考えてしまう」
へ。
この境目を考えると、オブセッションという言葉が分かりやすくなります。
オブセッションと「執着」は同じ?
日本語で最も近い言葉の一つは、
「執着」
でしょう。
執着とは、一つの物事に心をとらわれ、そこから離れにくくなること。
この点ではオブセッションと非常によく似ています。
例えば、
「昔の恋人に執着している」
という状態を想像してみてください。
朝起きると、その人のことを思い出す。
昔のLINEを読み返す。
写真を見る。
SNSを確認する。
「今は誰といるんだろう」
と考える。
「あのとき別の言葉を言っていたら」
と想像する。
夜、寝る前にも考える。
この状態になると、その相手は実際には目の前にいなくても、
頭の中では非常に大きな存在
になっています。
これがオブセッションの特徴です。
対象が現実にどれだけ近くにいるかではありません。
自分の内面をどれだけ占領しているか。
そこがポイントです。
オブセッション=病気ではない
ここは誤解しやすいところなので、区別しておきます。
obsession は心理学・精神医学の文脈では、「強迫観念」などの専門的な意味で使われることがあります。
しかし、日常会話や文学で使われる obsession には、
「強いこだわり」
「取り憑かれたように夢中になる」
といった比喩的な使われ方もあります。
したがって、
「オブセッションがある=病気」
という意味ではありません。
日常語として使われるオブセッションと、医療上の概念とは分けて考える必要があります。
私が「オブセッション」という言葉を気にしたきっかけ
今回、この言葉について記事を書いてみようと思ったきっかけが、
川上未映子さんについて書かれた新聞記事
でした。
川上未映子さんは、『乳と卵』『ヘヴン』『夏物語』などで知られる作家です。
そして今回の記事を考えるうえで非常に興味深い作品が、
『春のこわいもの』
です。
新潮社によると、『春のこわいもの』は感染症の大流行前夜の東京を舞台にした6編の短編からなる作品です。2022年に単行本として刊行され、その後2025年3月28日に新潮文庫版が発売されています。文庫版は605円(税込)で、電子書籍版も用意されています。
さらに興味深いのが、この作品と「声」の関係です。
Audibleでは『春のこわいもの』が Audible Originalsとして川上未映子さんの書き下ろし作品として配信され、朗読を俳優の岸井ゆきのさんが担当しています。
つまり、
目で文章を読む。
だけではなく、
耳から文章を受け取る。
という楽しみ方ができる小説です。
『春のこわいもの』はどんな作品?
『春のこわいもの』には6つの物語が収録されています。
新潮社が紹介している収録作品は、
「青かける青」
「あなたの鼻がもう少し高ければ」
「花瓶」
「淋しくなったら電話をかけて」
「ブルー・インク」
「娘について」
の6編です。
感染症の大流行によって世界が一変する直前。
まだ多くの人が、その後に起きる変化を知らなかった時期を背景に、人間の欲望や秘密、悪意、罪の記憶などが描かれています。
これを考えると、「オブセッション」というテーマと非常に相性がいい。
なぜなら、
人間の心に残り続けるもの
が物語を動かすからです。
川上未映子『春のこわいもの』
現在は新潮文庫版があり、新潮社公式情報では定価605円(税込)。楽天ブックスでも文庫版と楽天Kobo電子版が確認できます。
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「読む小説」と「聞く小説」は何が違う?
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自分で黙読したときと、
誰かの声で聞いたときでは、
受け取る印象が変わることがあります。
小説を「文字情報」ではなく、
音として存在する日本語
として体験できる。
これは面白い読書方法です。
文字ではなく「声」で川上未映子作品を体験する
散歩中。
車や電車での移動中。
家事をしながら。
寝る前。
本を開く時間が取れないときでも、オーディオブックなら耳から物語を楽しめます。
今回のテーマである「声としての日本語」を実際に体験するなら、『春のこわいもの』は非常に自然な選択肢です。
🎧 Audibleで『春のこわいもの』を聴いてみる
小説にはなぜ「オブセッション」が必要なのか
小説の登場人物を思い浮かべてみると、多くの人物は何かにとらわれています。
恋愛。
嫉妬。
家族。
復讐。
お金。
地位。
身体。
過去。
秘密。
罪。
死。
もし登場人物が、
「まあ、どちらでもいいや」
と何でもすぐに諦めてしまったら、物語はなかなか進みません。
「どうしても知りたい」
「どうしても忘れられない」
「どうしても許せない」
「どうしても欲しい」
「どうしても会いたい」
という感情が、人を行動させます。
つまり、
オブセッションは物語のエンジン
にもなります。
作家にも「何度も戻ってしまうテーマ」がある
一人の作家の作品を何冊も読むと、
「この作家は、この問題について何度も書いているな」
と思うことがあります。
身体。
家族。
孤独。
社会。
母親。
父親。
愛。
性。
死。
記憶。
作品ごとに登場人物もストーリーも違う。
それでも奥底には、
同じ問い
が存在することがあります。
一度書けば終わる問題ではない。
書いても完全には答えが出ない。
だからまた書く。
違う人物で書く。
別の状況で書く。
違う角度から考える。
これはある意味、
作家自身のオブセッション
と呼べるのかもしれません。
「答えが出ないこと」ほど頭から離れない
人間がオブセッションを持つ理由を考えると、一つ重要な特徴があります。
それは、
終わっていないことが気になる
ということ。
完全に納得して終わった出来事より、
「なぜ?」
が残った出来事。
理由の分かる別れより、
突然終わった関係。
成功した仕事より、
「あそこで失敗しなかったら」
という出来事。
答えがないものほど、人は何度も考えます。
「もし、あのとき……」は強力なオブセッション
人生には、
「もし、あのとき……」
という言葉があります。
もし、あの会社を辞めていなかったら。
もし、あの人と結婚していたら。
もし、別の学校へ行っていたら。
もし、あの株を買っていたら。
もし、売っていなかったら。
もし、もっと勉強していたら。
もし、あの日あそこへ行かなかったら。
しかし、この問いには答えがありません。
過去には戻れないからです。
別の選択をした人生を実際に生きることはできません。
だから人間の頭は、
存在しない「もう一つの人生」を何度もシミュレーションする。
そして、答えが出ない。
だからまた考える。
これも典型的な「とらわれ」です。
恋愛とオブセッション
人間が最もオブセッションに陥りやすいテーマの一つが、
恋愛
ではないでしょうか。
好きな人ができる。
相手のことを考える。
返信が来る。
うれしい。
返信が来ない。
気になる。
既読になった。
でも返事がない。
SNSを見る。
更新されている。
「SNSを見る時間があるなら、なぜ返信してくれないんだろう」
と思う。
ここから人間の頭は、いろいろなストーリーを作ります。
嫌われた?
忙しい?
ほかの人といる?
何か変なことを言った?
実際に分かっている事実は、
「返信がない」
だけかもしれません。
しかし、オブセッションが強くなると、
推測がどんどん膨らんでいきます。
SNSは現代のオブセッション増幅装置になり得る
昔であれば、別れた相手の近況を知ることは簡単ではありませんでした。
ところが現在は、
Instagram。
X。
TikTok。
Facebook。
LINE。
さまざまな場所に人の痕跡があります。
「見ない」
という選択をしなければ、
数秒で確認できてしまいます。
そして、
気になる
↓
確認する
↓
新しい情報を発見する
↓
意味を考える
↓
さらに気になる
↓
また確認する
という循環が生まれます。
SNSが悪いという単純な話ではありません。
問題は、
人間がもともと持っている「気になったものを確認したい」という性質と、SNSの便利さが非常に相性がいい
ことです。
「いいね」へのオブセッション
SNSでは、もう一つ面白い現象があります。
数字です。
10いいね。
100いいね。
1,000いいね。
1万再生。
10万再生。
フォロワー1,000人。
フォロワー1万人。
最初は、
「10人に見てもらえた!」
とうれしかった。
ところが1万再生を経験すると、
次に1,000再生だったとき、
「伸びなかった」
と思う。
同じ1,000人が見ているのにです。
人間は基準を更新します。
そして、
次の数字
を求め始めます。
数字を目標として利用しているうちは便利です。
しかし、
「数字が悪いから今日は気分が悪い」
となると、
数字が自分の感情を支配し始めています。
お金へのオブセッション
お金も非常に強いテーマです。
生活するには必要です。
住宅費。
食費。
水道光熱費。
通信費。
医療費。
老後資金。
お金について考えること自体は当然です。
しかし、
「いくらあれば安心?」
と考えると、答えは簡単ではありません。
100万円貯まった。
次は300万円。
300万円貯まった。
次は1,000万円。
1,000万円になった。
次は2,000万円。
人間が求めているものが、
お金そのものではなく「安心」
である場合、数字だけ増やしても不安が完全には消えないことがあります。
投資で起こる「逃した利益」への執着
株式投資にも、オブセッションはあります。
例えば100円だった株が500円になった。
すると、
「100円のときに1万株買っていれば……」
と計算したくなります。
100円から500円なら、差額は400円。
1万株なら400万円。
「ああ、400万円儲け損ねた」
と思うかもしれません。
しかし実際には、
100円で1万株を買っていたとしても、
120円で売っていたかもしれません。
200円で怖くなって利確したかもしれません。
そもそも1万株も買えなかったかもしれません。
未来を知っている今の自分が、
未来を知らなかった過去の自分を評価している
わけです。
それでも人は、
「あのとき……」
にとらわれます。
購入価格にも人はとらわれる
逆に買った株が下がる場合もあります。
100円で買った。
80円になった。
70円になった。
すると、
「せめて100円に戻ったら売ろう」
と思う。
なぜ100円なのでしょう。
自分が100円で買ったから
です。
しかし市場にとって、
あなたが何円で買ったかは関係ありません。
それでも100円という数字が、心理的な基準になります。
これも一つの「とらわれ」です。
成功へのオブセッションは悪いのか
ここまで読むと、
「オブセッションは悪いもの」
と思うかもしれません。
しかし、そうとも限りません。
成功したい。
作品を完成させたい。
会社を成長させたい。
もっと上手になりたい。
研究を完成させたい。
どうしても答えを見つけたい。
こうした強烈な「こだわり」が、大きな成果につながることがあります。
作家。
音楽家。
スポーツ選手。
研究者。
経営者。
発明家。
一般の人が、
「もう十分じゃない?」
と思うところでも、
本人は、
「いや、まだ違う」
と考える。
この異常なほどのこだわりが、作品や仕事の質を上げることがあります。
オブセッションには「破壊」と「創造」がある
私は、オブセッションには大きく二つの方向があると考えると分かりやすいと思います。
自分を消耗させる方向。
そして、
何かを生み出す方向。
例えば、
「あの失敗が許せない」
と毎日自分を責め続ければ消耗します。
しかし、
「なぜ失敗したのか」
を分析し、
「同じ失敗をしない方法」
としてブログ記事にすれば、
誰かの役に立つコンテンツになります。
失恋も同じです。
ただ苦しみ続けることもできます。
小説を書くこともできます。
歌にすることもできます。
絵を描くこともできます。
お金への不安も、
ただ怖がることもできます。
家計や投資について勉強するきっかけにすることもできます。
つまり、
オブセッションそのものより、「そのエネルギーをどこへ向けるか」が重要
なのかもしれません。
オブセッションの奥に「恐怖」が隠れている
自分が何かに強く執着しているとき、
一段深く考えてみると、
恐怖
が存在する場合があります。
お金への執着。
→ 貧しくなるのが怖い。
若さへの執着。
→ 老いるのが怖い。
恋人への執着。
→ 一人になるのが怖い。
仕事への執着。
→ 社会から必要とされなくなるのが怖い。
評価への執着。
→ 誰にも認められないのが怖い。
健康への執着。
→ 病気や死が怖い。
そこで、
「何を失うのが怖い?」
と考えてみる。
すると、自分のオブセッションの正体が少し見えてくるかもしれません。
「お金が欲しい」の本当の意味
例えば、
「もっとお金が欲しい」
と思ったとします。
なぜ?
「安心したいから」
なぜ安心したい?
「老後が不安だから」
何が不安?
「働けなくなったとき、誰かに頼るのが怖い」
なぜ怖い?
「自分の人生を他人に決められたくない」
ここまで来ると、
最初は「お金」の問題だったものが、
実は、
「自由」
の問題だったことが分かります。
お金が欲しかったのではない。
自分のことを自分で決められる人生が欲しかった。
という可能性があります。
若さへのオブセッション
人間にとって「若さ」も大きなテーマです。
若く見られたい。
老けたくない。
シワを減らしたい。
髪を維持したい。
体型を保ちたい。
これは自然な感情でしょう。
しかし、
時間を止めることはできません。
20歳は30歳になります。
30歳は40歳になります。
50歳は60歳になります。
その意味では、
若さとは、
必ず失われていくもの
です。
そして、人間は「失われるもの」に執着しやすい。
だから「若さ」は非常に強いオブセッションになり得ます。
「昔はよかった」というオブセッション
年齢を重ねるほど、
「昔はよかった」
と思う機会も増えてきます。
昔は体力があった。
昔は自由だった。
昔は仲間がいた。
昔は景気がよかった。
昔の音楽はよかった。
昔の街はよかった。
しかし、
記憶はビデオのように完全な状態で保存されているわけではありません。
私たちは過去を思い出すたびに、
現在の自分から見た過去
を作ります。
だから、
実際の過去ではなく、
美しく編集された過去
にとらわれている可能性もあります。
失ったものはなぜ美しくなるのか
別れた恋人。
閉店した店。
昔住んでいた街。
若かったころ。
亡くなった人。
昔聴いていた音楽。
辞めた仕事。
売ってしまった物。
手に入らなかったもの。
人間は、
「もう戻らないもの」
に特別な感情を持ちます。
今そこにあるものには不満を感じる。
ところが失うと、
急に大切だったことが分かる。
戻れないからこそ美しくなる。
そして、
戻れないからこそ、頭から離れなくなる。
ここにもオブセッションがあります。
人間にとって最大のオブセッション「死」
文学を考えると、
「死」
というテーマは避けて通れません。
なぜ人は死ぬのか。
死んだらどうなるのか。
自分が死んだあと、世界はどうなるのか。
人生には意味があるのか。
愛する人が亡くなったら、その人はどこへ行くのか。
宗教。
哲学。
文学。
芸術。
人類は何千年もの間、この問題について考え続けています。
なぜでしょう。
完全な答えがないから
ではないでしょうか。
答えの出ないものほど、人は考える。
そういう意味では、
死は人類共通のオブセッションとも言えるでしょう。
自分のオブセッションを見つける方法
一度、自分に問いかけてみてください。
「自分は何について、何度も考えているだろう?」
去年も考えていた。
5年前も考えていた。
10年前も考えていた。
そして今も考えている。
それは何でしょう。
仕事?
お金?
恋愛?
家族?
健康?
老後?
自由?
創作?
過去?
死?
そこには、自分の人生を理解する手掛かりが隠れているかもしれません。
「なぜ?」を5回繰り返す
おすすめなのが、
「なぜ?」
を繰り返す方法です。
「もっと成功したい」
なぜ?
「認められたい」
なぜ?
「自分には価値があると思いたい」
なぜ?
……。
このように掘り下げる。
最初に口にしたものと、
本当に求めているものが違うことがあります。
AI時代に価値を持つ「人間のオブセッション」
生成AIによって、
文章。
画像。
動画。
音声。
企画。
キャッチコピー。
さまざまなものを短時間で作れるようになりました。
大量の情報をまとめるだけなら、AIは非常に強力です。
では、これから人間の価値はどこにあるのでしょう。
一つは、
「何について考え続けたいのか」
なのではないでしょうか。
AIは、
「投資について2,000文字書いて」
と言えば文章を作れます。
しかし、
「なぜ自分は60歳になって投資について考え始めたのか」
「なぜ何度失敗してもブログをやめないのか」
「なぜこの音楽に何十年も惹かれるのか」
という人生そのものは、その人にしかありません。
情報はAIが作れる。
しかし、
「なぜ、それが自分にとって重要なのか」
という問いは、その人自身のものです。
ブログを書く人にオブセッションが重要な理由
ブログを続けていると、
「何を書けばいい?」
という問題が出てきます。
SEOキーワードを探す。
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競合記事を見る。
もちろん重要です。
しかし、それだけでは文章が似てきます。
そこで重要になるのが、
自分自身が何度も考えているテーマ
です。
年齢を重ねてから新しいことを始める意味。
副業。
お金。
AI。
SNS。
投資。
働くこと。
老後。
本。
音楽。
失敗。
こうした、
自分の中から何度も戻ってくる問い
を検索ニーズと組み合わせる。
そうすると、
「検索される記事」
でありながら、
「その人だから書ける記事」
になっていきます。
川上未映子さんの作品をもっと読んでみたい人へ
今回の『春のこわいもの』を入口に川上未映子さんの作品が気になったなら、
『乳と卵』
『ヘヴン』
『夏物語』
などへ広げてみる方法もあります。
一冊だけでは分からなかった作家のテーマが、
複数の作品を読むことで見えてくることがあります。
「なぜこの人は、このテーマを何度も書くのだろう」
と考えながら読む。
そんな読み方をすると、
単にストーリーを追うのとは少し違った楽しみ方になります。
おすすめ構成
『春のこわいもの』
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読書方法は一つではありません。
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新潮社公式では現在、『春のこわいもの』文庫版に電子書籍版があり、楽天ブックスでも楽天Kobo版が確認できます。
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本を読む時間が取れない。
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今回の記事なら、
Audibleとの相性が最もいい
と考えます。
なぜなら『春のこわいもの』はAudible公式に川上未映子さんによるAudible書き下ろし作品として掲載され、岸井ゆきのさんが朗読しているからです。
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オブセッションは「なくすもの」なのか
「執着しないほうがいい」
という考え方があります。
確かに、苦しい執着なら距離を取ったほうがいい場合もあります。
しかし、
すべてのオブセッションをなくす必要があるのでしょうか。
私は、そう単純ではないと思います。
どうしても小説を書きたい。
どうしても音楽を作りたい。
どうしてもこの問題を解きたい。
どうしても店を成功させたい。
どうしてもこの技術を身につけたい。
この強い思いがなくなったら、
多くの作品や発明は生まれなかったかもしれません。
オブセッションに支配されるか、利用するか
昔の失敗を、
「あのとき……」
と100回思い出す。
それだけなら、過去は変わりません。
でも、
「なぜ失敗したのか?」
と分析して、
人に伝える。
文章にする。
次に活かす。
すると、
過去は変えられなくても、
過去の意味
は変えられるかもしれません。
恋愛も。
仕事も。
投資も。
ブログも。
失敗そのものではなく、
その後にどう扱ったか。
そこに意味が生まれます。
年齢を重ねるほど「何に時間を使うか」が大切になる
若いころは、
「いつかやろう」
と言えます。
しかし年齢を重ねるほど、
時間が無限ではないことを実感します。
だからこそ、
「自分は何に時間を使いたいのか」
という問いが重要になります。
何でもやることはできません。
全部欲しい。
全部試したい。
全部成功したい。
と思っても、時間には限りがあります。
そこで、
「何度離れても、また戻ってくるもの」
を見る。
もしかするとそこに、
自分が本当にやりたいことがあるかもしれません。
「もう遅い」も一つのオブセッション
何か始めようとしたとき、
頭の中に、
「今さら」
という言葉が出てくることがあります。
今さらブログ。
今さら投資。
今さらAI。
今さらSNS。
今さら勉強。
しかし5年後から今日を見たらどうでしょう。
「あのとき始めていればよかった」
と思うかもしれません。
そうすると、
「遅いと思ってやらなかったこと」
そのものが、
未来の、
「もし、あのとき……」
になります。
自分のオブセッションを書いてみる
紙でもスマートフォンでもいいので、次の文章を書いてみてください。
「私は、なぜか○○について何度も考えてしまう」
○○に入るのは何でしょう。
恋愛。
仕事。
お金。
過去。
家族。
成功。
老後。
健康。
AI。
SNS。
孤独。
死。
そして、
「なぜ、それがそんなに気になる?」
と聞く。
答えを書く。
もう一度、
「なぜ?」
と聞く。
何度か繰り返します。
意外なところにたどり着くかもしれません。
オブセッションとは「自分を知る入口」
例えば、
「もっとお金が欲しい」
と思っていた。
でも掘り下げたら、
「自由が欲しい」
だった。
「有名になりたい」
と思っていた。
でも本当は、
「認めてもらいたい」
だった。
「昔の恋人に戻ってきてほしい」
と思っていた。
しかし、
本当に戻りたかったのは、
その人と一緒にいたころの自分
だった。
そんなことがあります。
だから、
自分のオブセッションを見ることは、
自分自身を見ること
でもあります。
よくある質問
オブセッションとは簡単に言うと何ですか?
ある人・物・考えなどが頭から離れず、強くとらわれている状態を表す言葉です。
日本語では「執着」「固執」「強迫観念」などと訳されますが、日常的には「考えないようにしても意識がそこへ戻ってしまうほど強いこだわり」と考えると分かりやすいでしょう。
オブセッションと執着は同じですか?
非常に近い言葉ですが、完全に同じとは限りません。
「執着」は何かを手放せない状態を表すことが多いのに対して、obsession には、
「頭の中を占領している」
というニュアンスがあります。
オブセッションは悪い意味ですか?
文脈によります。
恋愛や過去への強すぎる執着など、ネガティブな意味で使われる場合もあります。
一方、
「仕事に取り憑かれたように打ち込む」
「作品制作に異常なほどこだわる」
といった強い情熱を表す場合もあります。
obsession は「夢中」と訳せますか?
文脈によっては可能です。
ただし単なる「好き」よりも強く、
「取り憑かれている」
「頭から離れない」
というニュアンスを含むことがあります。
『春のこわいもの』はAudibleで聴けますか?
はい。Audible公式では川上未映子さんによるAudible書き下ろし作品として配信され、岸井ゆきのさんが朗読しています。
『春のこわいもの』には電子書籍もありますか?
新潮社公式では現在、文庫版に電子書籍版があることが案内されており、楽天ブックスでも楽天Kobo版が掲載されています。
まとめ|オブセッションとは「心から離れてくれないもの」
新聞を読んでいて、川上未映子さんの記事から気になった、
「オブセッション」
という言葉。
最初は、
「執着という意味かな」
くらいに思っていました。
しかし考えていくと、もっと奥深い言葉でした。
オブセッションとは、
自分の心から簡単には離れてくれないもの。
恋愛。
お金。
仕事。
成功。
若さ。
過去。
承認。
家族。
創作。
自由。
死。
人によって対象は違います。
そしてオブセッションは、
人間を苦しめることもあります。
一方で、
小説を書く。
音楽を作る。
研究する。
新しい仕事を始める。
勉強する。
何度失敗しても挑戦する。
そんなエネルギーにもなります。
だから、
「執着=悪いもの」
だけでは説明できません。
重要なのは、
「何にとらわれているのか」
に気づくこと。
そして、
「なぜ私は、それを手放せないのだろう?」
と考えることです。
その奥には、
自分が恐れているものがあるかもしれません。
逆に、
本当に大切にしたいもの
が隠れている可能性もあります。
オブセッションとは、
単なる「執着」ではなく、
その人が人生で何度も戻ってしまう「問い」
なのかもしれません。
そして川上未映子さんの『春のこわいもの』のような作品を読む、あるいは声で聴くことは、
他人の物語を通して、
自分自身が何にとらわれているのか
を考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。
そして現在の記事の最後、「まとめ」が終わった直後に、以下を追加してください。
川上未映子さんの作品をもっと読んでみたい人へ
『春のこわいもの』をきっかけに、
「川上未映子さんの作品をもっと読んでみたい」
と思った人は、ほかの代表作へ進んでみるのもおすすめです。
例えば、
『乳と卵』
『ヘヴン』
『夏物語』
などがあります。
一冊だけ読むのと、同じ作家の作品を何冊か読むのとでは、見えてくるものが変わります。
作品ごとに物語や登場人物は違っても、
「この作家は、なぜこのテーマを何度も描くのだろう?」
という部分が少しずつ見えてくるからです。
それは、この記事で考えてきた、
「人はなぜ、同じことに何度も戻ってしまうのか?」
というオブセッションの話にもつながります。
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紙・電子書籍・Audible、どれで読む?
最後に、
「結局どれを選べばいい?」
という人向けに簡単にまとめます。
📕 紙の本がおすすめの人
- じっくり読みたい
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今回の記事なら、個人的に特に面白いと思うのは、
『春のこわいもの』を「声」で体験する方法です。
文字だけで読んだときと、
岸井ゆきのさんの声で聴いたとき。
同じ作品をどう感じるのか。
そこを比べてみるのも面白いと思います。
『春のこわいもの』を読む・聴く
今回の記事を考えるきっかけになった川上未映子さんの『春のこわいもの』。
自分に合った方法で楽しめます。
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