アルバム概要
- アルバム名:「不機嫌な天使」
- アーティスト 高田真樹子(Makiko Takada)
- 発売年:1977年
- レーベル:KITTY
- ジャンル:シティポップ / AOR / ソウル / 歌詞性
高田真樹子の『不機嫌な天使』は、1970年代の日本ポップスの中でも際立った存在感を放つ名盤です。透明感あるボーカルと、ジャズやソウルの要素を散りばめたアレンジが織りなすサウンドは、現在のシティポップ再評価の流れでも高く評価されています。
曲目リスト
| 番号 | 曲名 | 時間 |
|---|---|---|
| 01 | 不機嫌な天使 | 0:00 |
| 02 | しおどき | 4:45 |
| 03 | 酔いまかせ | 8:42 |
| 04 | 昨日の夢に腰かけて | 12:32 |
| 05 | 終止符 | 16:21 |
| 06 | 送り風 | 20:37 |
| 07 | 冷えた汗 | 24:38 |
| 08 | 憂鬱電話 | 29:17 |
| 09 | 熱い刻 | 32:36 |
| 10 | めぐり逢い | 36:20 |
各曲ごとの詳細解説&歌詞考察
不機嫌な天使
アルバムのタイトル曲であり、全体の世界観を象徴するナンバー。恋愛の中での微妙な気持ちのすれ違いや、心の中に秘めたわがままな感情を“天使”というモチーフに重ねています。歌詞の中に登場する「わたしは天使じゃないの」というフレーズが示す通り、理想と現実の狭間に揺れる等身大の女性像が描かれます。
キーワード:自己矛盾、愛情の裏側、女性の内面
しおどき
「引き際」を意味するこの言葉は、まさに大人の恋のテーマを象徴。淡い恋が終わる瞬間、言葉にしない別れの予感を、静かなリズムと共に漂わせます。「あなたの目の奥で潮が引いてく音がした」という描写が切なさを倍増させる名フレーズです。
酔いまかせ
ワインの香りと夜の街の雑踏が感じられる一曲。恋愛と酒が交差するシーンが浮かび上がります。「酔って本音を語る」ことの危うさと優しさが交錯する、しっとりとしたバラード調の構成です。ギターとピアノの絡みがとても艶っぽい。
昨日の夢に腰かけて
記憶の中の誰かに再会するような、不思議な浮遊感を持つ楽曲。「過去の夢と会話をする」という独特の比喩は、郷愁と未練を美しく表現しています。
終止符
関係の終わりを、強くも静かに語る一曲。Aメロとサビの緊張感が印象的で、「あなたのいない朝が、もう怖くない」というフレーズに、自立した女性像を感じさせます。
送り風
この楽曲はアルバム全体の中でも特に演奏が光ります。イントロのドラムブレイク、ベースラインのグルーヴ感、そして木管楽器の柔らかな音色が融合した、洗練されたシティ・ジャズ・ポップ。別れを受け入れるというテーマながら、清々しさをも感じさせます。
冷えた汗
「冷えた汗」は、不安や焦り、緊張といった“言葉にできない心の揺れ”を描いた作品。都会的なエレピがリードし、ヴォーカルはあくまで控えめに語りかけます。ストレス社会や働く女性の苦悩など、当時にはなかった視点も含まれているように感じます。
憂鬱電話
タイトルがすべてを語っています。相手の声を聞くたびに増す不安、そして言葉にできない距離。「鳴らない電話に一番傷つくのは、出るつもりで待っている時」——歌詞にあるこの一節は、現代でも共感される心情描写です。
熱い刻
グルーヴ感のあるリズムが特徴のアップテンポな一曲。ベースとドラムの掛け合いがとてもアグレッシブで、感情の爆発や衝動的な恋の熱量をそのまま音にしたような構成です。
めぐり逢い
アルバムのラストを締めくくるにふさわしい、しっとりとした愛の賛歌。巡り会う奇跡をテーマにしたこの曲は、人生の出会いと別れを優しく包み込みます。「何も言わずに始まった朝、それがあなたとの始まりだった」——印象的なラストラインです。
アーティスト紹介:高田真樹子とは?
高田真樹子は1970年代から80年代にかけて活動した日本の女性シンガー。華やかなアイドルとは異なり、彼女のスタイルは“語りかけるように歌う”大人の歌謡スタイルが特徴。シンガーソングライターとしての要素も強く、独特の世界観を持つ詞が多くのリスナーの心を掴んでいます。
当時のレコードはすでに廃盤となっており、現在ではプレミア価格で取引されることも多いコレクターズアイテムです。復刻LPやCD化を望む声も多く、海外のシティポップブームで再注目されている人物の一人でもあります。
制作陣・参加ミュージシャン
『不機嫌な天使』には、当時の一流セッションミュージシャンやアレンジャーが参加しています。ドラムには村上“ポンタ”秀一、ベースには岡沢章、アレンジには井上鑑など、現在も語り継がれる豪華なメンバー陣が並びます。
このことにより、アルバム全体のサウンドクオリティは非常に高く、単なる歌謡曲ではなく“聴かせる音楽”としての深みを持っています。
1977年当時の音楽シーン背景
1977年の日本は、ニューミュージックと呼ばれる流れが本格的に登場し、歌謡曲と洋楽の中間を行くような楽曲が増えた時代です。ユーミン、山下達郎、荒井由実といったアーティストたちが活躍する中、高田真樹子のような「詩を歌い込む」アーティストは、まさに音楽の深化を象徴する存在でした。
総括
このアルバムは、わずか10曲の中に、女性の感情、日常、恋愛、記憶、ささやかな機微の揺れを美しく描き出す傑作です。シティポップや電気ソウルが好きな方には特におすすめ。
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